まみの病院の外科から、年度末で
後期研修医の先生が一人、異動になっていました。
その先生は主治医でも担当医でもない先生でしたが、
入院中はたまに回診してくれたり、リンパ液を抜いてもらったり
最初のうちは割と顔を合わせる機会が多かったです。
この先生、そんなに愛想のいい人でもなければ、特に面白くも
目だってハンサムというわけでもなかったです。
いかにもお医者さんという外見で、ちょっと冷たそうというか
クール

な雰囲気の先生でした。
でも、実はまみにとってちょっぴり特別な人だったのです・・・
術後すぐの頃、毎日リンパ液を抜きに行っていて、
この先生が抜いてくれたことがありました。
先生、後期研修医なので多分まみと同じかちょっと上くらいの歳です。
当時は抗がん剤前で、まみも片乳がない以外は以前と同じ外見でした。
その頃は毎日リンパ液を抜いて貰っていて、上半身裸に何の抵抗もなくなり
その日も思い切りよく残った片乳ともに晒していました

ふと気がつくと先生、処置も忘れてある一点を凝視しています。
先生の視線は、まみの片方残ったかつて自慢だった美乳

の残存に釘付けになっていました。
まさにガン見に近い状態

せ、先生、今見ていただきたいのはそちらじゃない方です・・・
まみの視線に気づいたのか、先生は我に返ってちょっと慌てていました。
人によって賛否両論だと思いますが、私は悪い気はしませんでした。
片っぽになって傷もあって、キレイとは言えないこの体を、まだ
そんなに真剣に見てくれる男の人がいたのはちょっぴり自信になりました。
この乳首のない肋骨の浮き出た胸を、男の人に見せたことはありません。
勿論、乳腺専門医の主治医は、お乳を見るのも触るのもごく物質的です。
もしかするともう一生、「男の人」に見られたり触られたりすることがない
胸なのかなぁ

とわが胸ながら可哀想に思います。
普通、お医者さんは男の人というカテゴリに入らないのですが、
まみの胸を最後に見てくれた「男の人」はあの先生だったかなぁ
とか思ったりしています。
たまに、院内で遠くに見かけることがあると、必ず見つけてくれて
遠くからでも会釈をしてくれました。
それもちょっと恥ずかしげに・・・


ぺらっと一枚、ホワイトボードに貼られた異動のお知らせ。
もう会うこともないのだなぁ、と
なんだかちょっぴり寂しい気持ちがしました
